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「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」を【オススメしない】3つの理由

「ジェイコブス3Dゴルフ(Jacobs 3D Golf)」と書籍「ゴルフの力学」をオススメしない理由

最近、非常に注目されているゴルフレッスン「ジェイコブス 3D ゴルフ」(Jacobs 3D Golf)

ジェイコブス 3D ゴルフ」アンバサダーによる書籍「ゴルフの力学」(サンエイ新書 著者:松本協)も出版されています。

科学に基いたゴルフレッスンということで注目度は上昇傾向にありますが、どちらもオススメしません

今回は、「ジェイコブス 3D ゴルフ」と「ゴルフの力学」についての(否定的な)解説となります。

オススメしない3つの理由
  1. 書籍「ゴルフの力学」は、力学的に間違った記述が多く見られる
  2. 「ジェイコブス 3D ゴルフ」は、複雑でほとんどの人が理解できない
  3. 教える側も、教わる側も、混乱必至
目次

はじめに

今回、あえて否定的な内容の記事を書こうとした理由は、

書籍「ゴルフの力学」は、科学・物理学・力学を前面に押し出している書籍にもかかわらず、力学的に間違った記述が多く見られたためです。

ゴルフスイングの解説内容は千差万別ですから、スイング解説そのものを否定するつもりはありません。

(私自身、実績も肩書きも無いただのアマチュアゴルファーですから)

しかし、「科学的」とか「物理的」などと宣伝しているにもかかわらず、力学的に間違った記述が多く見られることに対しては見過ごすことが出来ませんでした。

ただでさえ、日本のゴルフ界は間違った物理・力学が蔓延しています

これ以上、間違った知識が広まって欲しくないために、読者が力学にたいして誤解・誤認して欲しくないために記事を書くことにしました。

※物理・力学を知らなくても、ゴルフはいくらでも上達できます。

それでも、物理・力学の知識があればゴルフ上達に役立てることができますし、反対に間違った知識を持っているとゴルフ上達の妨げになることも十分ありえます。

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書籍「ゴルフの力学」について

私はもともと理系出身なので、ゴルフ・ゴルフクラブに対する物理的(力学的)アプローチは非常に興味をひかれます。

ただ、残念なことにゴルフ上達を目的とした物理的(力学的)アプローチでスイング解説をしている書籍は見受けられないのが現状です。

2020年4月、サンエイ新書より「ゴルフの力学」(著者:松本協)が出版されましたが、期待を裏切られた書籍でした。

ジェイコブス3Dゴルフ(Jacobs 3D Golf)

書籍「ゴルフの力学」は、マイケル・ジェイコブス(Michael Jacobs)が提唱するゴルフレッスン「Jacobs 3D Golf」を日本語でわかりやすく解説した書籍です。

バックスイングからインパクトまでゴルフクラブに掛かる力を3次元解析して、スイング中どの方向へ力を掛けるべきか(掛かっているのか)を解説しています。

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著者はジェイコブス3Dゴルフのアンバサダー

「ゴルフの力学」の著者である松本協さんは、ジェイコブス3Dゴルフの認定アンバサダーです。

ジェイコブス3Dゴルフを日本に広めることを目的として出版されたのが著書「ゴルフの力学」です。

ただし、書籍「ゴルフの力学」には、力学的に間違った記述が多く見られます。

ゴルフスイング・ゴルフクラブに対する力学的アプローチは、私自身かなり期待していたことなので、読んでガッカリしたのが素直な感想です

「ゴルフの力学」の力学的な間違い

書籍「ゴルフの力学」には、力学的に間違った記述が多く見られます。

ここでは大きく4つに分けて簡単に紹介します。

偏重心だからゴルフは難しい

「偏重心だから、ゴルフは難しい」と記述されていますが、

力学的に言うと「偏重心だから、ゴルフは簡単」です。

ゴルフクラブの特徴として、偏重心(シャフトとヘッドの重心がズレている)ことが挙げられます。

偏重心だから、ボールを遠くへ飛ばすことができます

偏重心だから、ボールをコントロールすることができます

偏重心であるためにクラブには回転モーメント(パッシブトルク)が発生します。

※軸周りの慣性モーメントと表現される力

回転モーメントによってボールを捕まえる(ボールが捕まる)ことができます。

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もし、クラブが偏重心じゃなかったら、ゴルフは今よりも何倍も難しい競技になります。

力学的な視点で言うと、「偏重心だからゴルフは簡単」

運動学的な視点で言うと、「偏重心だからゴルフは難しい(クラブのコントロールが難しい)」となります。

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科学的帰納法という表現

書籍「ゴルフの力学」では、「科学的帰納法」「科学帰納的」などといった表現が使われていますが、私が知る限り物理学では使わない表現です。

「数学的帰納法」は、数式(命題)の証明に使用される手法で、100%正しいことを示すことができます。数学でのみ使用される用語です。

数学以外で物事を論理的に解説する場合も「帰納法」は使われますが、科学・物理・力学とは関連性が薄くなります。

論理的解説に使われる手法は主に2つあります。

帰納法:いくつかのデータを元にした推論結果

演繹法:3段論法

「科学的帰納法」と言う表現は、説得力があって100%証明されたように聞こえますが、実際はただの推論に過ぎません。

遠心力に関する記述

おそらく日本人ゴルファーの99%が間違って認識していると思われるのが、「遠心力」です。

書籍「ゴルフの力学」でも、間違った認識で解説されています。

「遠心力」で、飛距離がアップすることはない

「遠心力」は、飛距離に全く影響しない力

「遠心力」は、スイングの邪魔をするだけの力

※遠心力についての詳しい解説は、後述します。

重力に関する記述

重力に関する記述にも、間違いが多く見られました。

「重力」「重さ」「質量」「重力加速度」が区別されていません(混同している)。

言葉としては同じようなものですが、力学的には全く異なる値です。

インパクトの瞬間の重力負荷は100[G] (P.162)

100[G]もの抵抗(P.170)

など、[G](重力加速度)を「力」として記述されています。

[G]は重力加速度のことで、単位は[m/s^2](s^2は、sの2乗)

力(衝撃・負荷・抵抗)を現すのなら、単位は[N](ニュートン)または[kg•m/s^2](キログラム重)

単にヘッドの加速度を現すのなら、約1000[m/s^2]で表記されるべきです。

※書籍に添付されているグラフには単位が記載されていないのでハッキリ分からりませんが、前後の文脈から推察して100[G]はおそらく重力加速度のことを現しているはずです。

参考文献:大阪体育学会「大阪体育学研究 第56巻」

ゴルフスイング時のクラブヘッド速度と法線方向へのグリップ速度との関係について

※力学を学ぶとき、重さ・質量・重力・重力加速度を混同しがちです。

数式上で区別するのは簡単ですが、「言葉」で理解しようとすると区別がつかなくなることはよくあることです。

物理・力学の理解が不十分であるのなら、出版前に第3者に監修してもらうべきだったと思います。

※重力についての詳しい解説は、後述します。

「ゴルフの力学」「ジェイコブス3Dゴルフ」でゴルフの上達は難しい?

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力の分解(α,β,γ軸)は混乱させるだけ

ジェイコブス3Dゴルフ
ゴルフの力学(P.70,71)

「ジェイコブス3Dゴルフ」の特徴は、クラブにかかる力を分解して(α,β,γ軸)解説していることです。

スイング中のクラブにかかる力がどちらの方向なのか。

どちらの方向に力をかければ良いのか?

そういった視点で解説しているのですが、教わる人も教える人も混乱するのではないでしょうか?

例えばバックスイングからトップになったとき、クラブがどの方向を向いているのか正しく認識するのも難しいものです。

それなのに、切り返しではどの方向に力を加えるべきかを解説されても、それを正しく理解して実行できる人がいるとは思えません。

ほとんどの人が理解できない

書籍の前半は、力の分解(α,β,γ軸)と「ニュートン力学」について解説していますが、おそらく、ほとんどの人は理解できないと思われます。

力学(物理)は、数式ありきの学問です

力学(物理)は、言葉だけでは解説することも理解することも難しい

力学(物理)を言葉だけで説明することは非常に難しいです。

専門用語や数式の暗記で理解したつもりになると、先ほど指摘したように「重力、質量、重さ、重力加速度」の区別がつかなくなります。

「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」は、物理を学んだことがある人にしか理解できないのではないかと思われます。

理解できたつもりでも混乱必至

書籍「ゴルフの力学」では、それでも力学を分かりやすく解説されていると思います。

力学(ニュートン力学)をある程度理解できて

力の分解(α,β,γ軸)を理解できて

果たして、それで本当にゴルフが上達するのかどうか疑問です。

教える人も、教わる人も混乱必至でしょう

引く意識はスイングを乱す

「ジェイコブス3Dゴルフ」では、「シャフトのグリップ方向に力を入れ続けること」が大切と解説されています。

つまり、バックスイングからインパクトまで「クラブを引き続ける」ことが大切と言うことです。

力学的な解説が分からなくても、「クラブを引き続ける」動きは感覚的に誰にでも理解できます。

この「引き続ける」動きはスイングを大きく乱す原因になると考えます。

バックスイングの始動で、グリップ方向に引く?

トップからの切り返しで、グリップ方向に引く?

どちらも混乱する説明です。

そんな意識を持たなくても、正しいスイングをしていればグリップ方向に引く力(向心力)は発生します。

さらにインパクトでグリップを引く意識を持つと、伸び上がりの原因にもつながります。

正しいスイングを身に付けるゴルフスイングのメカニズム

→【ゴルフスイングのメカニズム】

※グリップ方向へ引く力を入れるとヘッドは加速します(パラメトリック加速)が、「引く意識」は持たなくても大丈夫です。

特にインパクトでグリップを引いてヘッドを加速させようとする動き(意識)はゴルフスイングの基本から逸脱する可能性があります。

手打ちスイングで飛距離が出ている人は、インパクトでグリップを(真上に)引く動きを無意識に取り入れてヘッドを加速させています。

以上が、「ゴルフの力学」「ジェイコブス3Dゴルフ」をオススメしない理由です。

ゴルフスイングにおける「力学」について

力学は難しい

まず始めに、力学は非常に難しい学問であること。

「目に見えない力」を数式で解説することになるからです。

F=maの数式に値を代入すれば良いという単純なものではありません。

理論値と実測値

力学(物理学)では、「数式で示される理論値」と「実験で示される実測値」とでは常に大きな誤差が生じます。

誤差が生じる原因は、摩擦力などの外的要因が大きく影響するからです。

ゴルフスイングの場合だと、少しでも体に力が入る(外的要因)だけで測定値は大きく異なってしまいます(と思われます)。

書籍「ゴルフの力学」では、ゴルフクラブの動きは運動の法則(ニュートン力学)で全て解説(科学的に証明)できると記述されていますが、それはちょっと暴論であると言えます。

3次元空間における力学は、理論値と実測値の誤差(外的要因)について考察することが重要になります

理論値:F=ma

実測値:F≠ma , ma=F(F=ma+α)
※αは外的要因

数式(運動の法則)に値(ヘッド重量など)を代入して答えを出すのは、高校一年生のドリル問題のレベルです。

重力と遠心力はスイングに影響しない

ほとんどの日本人ゴルファーが誤解していることですが、「重力」と「遠心力」はスイング・飛距離に影響しません。(プラスの効果はない)

どちらかと言うと、「重力」と「遠心力」はスイングを邪魔する力であって、飛距離アップには一切関係のない力です。(マイナスの効果はある)

遠心力と飛距離は関係ない

遠心力と飛距離の関係
遠心力は、常に飛球線と垂直方向に発生する

飛球線方向の力はゼロ

飛距離アップの解説で必ずと言って良いほど出てくるのが「遠心力」ですが、「遠心力」と飛距離アップは一切関係ありません。

遠心力はシャフト軸のヘッド方向へ発生する力ですが、飛球線方向のベクトルはゼロです。

遠心力は体を引っ張り続ける力なので、スイングの邪魔をしているだけの力に過ぎません。

ロングアイアンが難しい理由

ロングアイアンが難しい理由は、どのクラブよりも遠心力が大きくなるからです。

遠心力が大きくなることによって、バランスを崩す(スイングが乱れる、クラブのコントロールが難しくなる)ことがロングアイアンが難しい理由です。

もし遠心力がスイング・飛距離に好影響を及ぼすのであれば、遠心力が大きくなるロングアイアンは簡単に飛ばせるクラブになるはずです。

※クラブの慣性モーメントが小さいこともロングアイアンが難しい理由です。

車の運転に例えると分かりやすい

遠心力と飛距離の関係2

遠心力と飛距離の関係を「車の運転」に例えると分かりやすいです。

スピードを出してカーブを曲がるとき、運転者は遠心力を感じます。

カーブと反対方向に引っ張られている(と感じる)力です。

では、「遠心力を使って車を加速させてください」と言われるとどうでしょうか?

引っ張られている力(遠心力)を使って車を加速させることは不可能です。

「遠心力を使ってヘッドを加速させましょう」

「遠心力を使って飛距離をアップさせましょう」

これらの解説が、根本的に間違っていることが感覚的に理解できます。

遠心力は「見かけ上の力」

遠心力は「見かけ上の力」と定義されています。

「見かけ上の力」とは、他の物体に影響を及ぼさない力と言い換えることができます。

ゴルフの場合だと、「ボールに遠心力が伝わることはない。」と言うことです。

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重力を使うスイングはありえない

重力を使ったスイング軌道
クラブを自由落下させるとスイングは成立しない

主に、トップからの切り返し・シャローイングの動きの解説で

「重力を使いましょう」

「自由落下をさせてクラブヘッドを加速させましょう」

と言われますが、重力を利用したスイングはありえません。

重力を使ったスイング軌道2

重力を使うと言うことは、垂直下向きにヘッド(クラブ)が加速してしまうと言うこと。

その時点でスイングは大きく乱れることになります。

遠心力と違ってスイング中の重力の影響はゼロとは言いませんが、限りなくゼロに近いほどスイングにはプラスの影響を与えない力です。

シャロースイング のメカニズムは「シャフトを寝かす」「腕を垂直に下ろす」とは根本的に異なる動きをします。

シャローイングについての詳しい解説はコチラ

また、遠心力と同様に、重力もスイングの邪魔をする力とも言えます。

重力の影響を受けてしまうとスイングが乱れてしまいますので、そうならないように体を使う(適度に力を入れて重力に逆らう)必要があります。

スイングを成立させるには【筋力>重力】出なければならない

重力を使うとは【筋力<重力】の状態。これではスイングは乱れるだけ。

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「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」 まとめ

ゴルフを学びたい人

「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」はオススメしません

力学(物理)を学びたい人

「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」はオススメです

※ただし、力学的に誤った記述があるので参考程度に

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「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」をオススメしない理由

「ジェイコブス3Dゴルフ」「ゴルフの力学」は、とにかく複雑で分かりにくい。

力学(物理)を深掘りすると、一気に難しくなります。

力学(物理)を言葉で解説しようとすると、専門用語が多くなり解説の内容も複雑になります。

それでも、ゴルフを教えるのではれば、専門用語をなるべく使わず、誰にでも分かりやすく簡潔に解説することが求められます。

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分かりやすいレッスンじゃないと意味がない

世の中には様々なゴルフレッスンが存在していますが、一番大切なことは「分かりやすいレッスン」じゃないと意味がないと考えています。

物理・力学からアプローチするレッスンは良いことだと思いますが、複雑で難解な内容だと何の意味もありません。

書籍「ゴルフの力学」については、力学的に間違った記述も多くみられます。

申し訳ないですが「ジェイコブ3Dゴルフ(Jacobs 3d golf)」「ゴルフの力学」はオススメしません。

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ゴルフスイングのメカニズム

ゴルフスイングの動きを1つ1つ分解して分かりやすく解説しているのが【ゴルフスイングのメカニズム】です。

シャローイングアームローテーションフェースローテーション体の右サイドでスイングスイングプレーン下半身リードなど、ゴルフスイングの基本動作を1つ1つ細かく解説しています。

感覚的な表現はいっさい使用していないので、初心者でも理解できる内容になっています。

→ゴルフスイングのメカニズム

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