初心者ゴルファーにとって難しい感覚が、「グリップを握る強さ」です。
ゴルフクラブの操作に慣れていないと、どうしても強く握ってしまいます。
かと言って、ゆるゆるグリップが正しいわけでもありません。
今回は、グリップを握る時の強さをチェックする方法について解説します。
クラブ・フェースを自在に操れる感覚のこと
「識別能力」を鍛えることで正しいグリップの強さが身につく
アプローチ上達に大きく影響する
「握る強さ」より「フェースを操る感覚」
初心者ゴルファーは必ず悩む
プロ・アマ・解説者問わず、多くのゴルファーが「グリップを握る強さ」について説明していますが、個人の感覚に頼った表現になりがちで良く分からない事が多いです。
強く握るのか、ゆるゆるで握るのか、言っていることもバラバラです。
グリップを握る強さについて、初心者ゴルファーは必ず悩み混乱します。
悩む原因は簡単で、グリップを握る強さとは「感覚」そのものだからです。
クラブを操る感覚「識別能力」
クラブを自在に操る感覚のことを、「識別能力」と言います。
コーディネーション能力(一般的には運動神経と言われる)の1つで、力を入れる程度と方向を調整する力のことです。
強すぎてもダメ、弱すぎてもダメ。
クラブをコントロールできる必要最小限の力が「グリップを握る」強さであり、完全に個人の感覚に左右されます。
クラブが正しく動いているかで判断する
グリップを握る強さ・感覚には、明確な基準があります。
それは、ゴルフクラブ(ヘッド)を正しく動かせているかどうかです。
グリップを握る強さが、強過ぎても弱過ぎても、ゴルフクラブ(ヘッド)は正しく動いてくれません。
グリップを握る強さは、ゴルフクラブの動きで判断します。
グリップを握る強さで2つの動きをチェックする
ゴルフクラブの動きは2つある
- フェースローテーション
- 手首を軸にした、クラブの円運動
インパクトゾーンに限定されますが、ゴルフクラブの正しい動きは2つです。
この2つの動きが正しく出来るように、グリップを握る強さを調整します。
パッシブトルクによるフェースローテーション
ヘッドを立てると、クラブは勝手に回転します。
この勝手に回転する力のことをパッシブトルクといいます。
パッシブトルクにはプラスとマイナスの向きがあります。
プラスの向きのパッシブトルクによって、ヘッドのフェースローテーションが行われます。
グリップを握る強さをチェックする基準の1つは、このパッシブトルクがプラスの向きに発生しているかどうかで判断します。
グリップを握る強さが適切だと、プラスの向きに働くパッシブトルクを感じることができます。
パッシブトルクについての詳しい解説はこちら
手首を軸にしたゴルフクラブの円運動
ゴルフスイングは、2つの円運動で成り立っています。
- 首の付け根を軸にした、肩の円運動
- 手首を軸にした、ゴルフクラブの円運動
このうち、手首を軸にしたゴルフクラブの円運動が出来ているかが、グリップを握る強さをチェックする2つ目の判断基準になります。
ティーショットやフェアウェイから打つ場合と、深いラフから打つ場合とではグリップを握る強さは異なります。
深いラブの場合は、芝の抵抗力に負けないために強く握ることになります。
ゴルフスイングの2つの円運動に関する詳しい解説はこちらから
→【フィニッシュの基本】正しいフィニッシュの形がゴルフスイングの基本
インパクトゾーンでは2つの動きが同時におこなわれる
インパクトでは、2つの動きが同時に発生します。
この2つの動きが正しく行われるために大切なのが、グリップを握る強さです。
強過ぎても、弱過ぎても、ゴルフクラブは正しく動いてくれません。
手首を軸にしたクラブの円運動と、ヘッドのフェースローテーションの2つ動きが正しく行われないとボールは思ったように飛んでくれません。
グリップを握る強さを意識するのではなく、クラブの動き・フェースの動きを意識することで「識別能力」を高めることができます。
グリップを握る強さのチェック方法
チェック1 右手だけでクラブを軽く振る
まず、右手だけでクラブを軽く振ります。
初心者にとっては、少し難しい動きです。
グリップだけではなく、腕に力が入り過ぎていてもクラブは正しく動きません。
腕・肘・手首・グリップそれぞれの力加減を調整してください。
右手の動かし方のポイントは、外旋の動き(手の平を正面に向けた状態)をキープしたまま動かすことです。
右手を被せる動きはしないように注意してください。
グリップを握る強さが正しいと、クラブはスムーズに弧を描きます。
グリップを握る強さが正しいと、何も力を加えなくても自然にできます。
グリップを握る強さが弱かったり、二の腕に力が入り過ぎているとダフります。
インパクトで力を入れ過ぎると、クラブの軌道が逸れてしまいます。
クラブを軽く振るだけで分かること
- グリップを握る強さが分かる
- フェースローテーションの感覚が分かる
- インパクトゾーンのクラブの動きが分かる
- 腕全体の力加減が分かる
- 右手の動かし方が分かる
このチェック方法はメリットがたくさんありますので、定期的に行うことをお勧めします。
チェック2 左手だけでクラブを軽く振る
右手と同様に、左手だけでクラブを軽く振ります。
右利きの人は、難しい動きになると思います。
右手と同様に、グリップ・腕全体の力加減を調整してください。
左手の場合の注意点は、実際のスイングの動きとは異なるということ。
左側に大きく振り抜く動きは、実際のスイングでは行いません。
写真のように振り抜く場合は、軽く左手を返す動きを入れると良いです。
右手よりも軽く振る意識を持って、クラブの動きを確認してください。
チェック3 両手でクラブを軽く振る
右手・左手の動きが出来るようになったら、両手で同じ動きを行います。
ヘッドスピードを上げる必要は無いので、片手の時と同じように軽く振ります。
グリップを握る強さ、腕の力加減、右手の動かし方が全て正しく行われると、ハンドファーストの形でクラブを振れるようになります。
チェック4 下半身の動きを入れてクラブを振る
最後に、下半身の動きを加えます。
綺麗にクラブが振り抜けると、腕とクラブが直角になります。
力を入れなくても、自然にクラブの遠心力で直角になります。
この動きに慣れてきたら、徐々にヘッドスピードを上げてください。
下半身の動きを加えたこの動きは、そのままアプローチショットになります。
アプローチの打ち方はいろいろな方法がありますが、この動きがアプローチショットの基本です。
実際のアプローチショットでは、ヘッドースピードを変化させたり、下半身の動きを調整したりしてボールをコントロールします。
ボールを打つときは、グリップを握る強さが変わる
インパクトの衝撃に負けない強さで握る
素振りによるグリップを握る強さの感覚は掴めたと思いますが、実際にボールを打つときは少し強く握ります。
インパクトの瞬間の衝撃を受け止められるだけのグリップを握る強さが求められます。
クラブ・フェースを操る意識・感覚を失わないように気を付けてください。
この感覚を失うと、ただのマン振りと変わらなくなります。
スイングスピードに合わせてグリップを握る強さを変える
スイングスピードを上げると、クラブの遠心力は大きくなりますし、インパクトの衝撃も大きくなります。
スイングスピードに合わせてグリップを握る強さを調整する感覚も必要になります。
逆に、スイングスピードを上げるためにはトップでは脱力している必要があり、「グリップを強く握りすぎない」ことが大切です。
慣れてくると、無意識のうちに調整できるようになります。
このあたりが、グリップを握る強さについての解説がバラバラである原因の1つでもあります。
リフティングが最高のトレーニングになる
グリップを握る強さを調整してフェースを自在に操る感覚を手に入れるのに最適なのが「ゴルフボールを使ったリフティング練習」です。
強く握ると疲れますし、弱く握るとフェースをコントロールできません。
グリップを最適な強さで握っていないとリフティングはできないのです。
床からボールをすくい上げてリフティングを始めることができれば、もう「グリップを握る強さ」は気にならなくなっています。
リフティングの上達は、アプローチの上達に大きく影響します。
リフティング練習についてはコチラ
→【リフティングチャレンジ】アプローチ上達のコツはボールの拾い上げ
グリップを握る強さ まとめ
クラブ・フェースを自在に操れる感覚のこと
「識別能力」を鍛えることで正しいグリップの強さが身につく
アプローチ上達に大きく影響する
グリップを握る強さとは、言葉では説明が難しい「クラブを操作する感覚」のことです。
クラブを自在に操る「識別能力」を向上させることで、適切なグリップの強さが身に付きます。
「グリップを握る強さ」を意識するのではなく、クラブ・フェースをコントロールする感覚を持って練習することが大切です。
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