トップからの切り返しは、ヘッドを加速させるための助走区間です。
5ステップで学べる【ゴルフスイングのメカニズム】
今回は【補足編】として、トップからの切り返しでヘッドを加速させる方法についての解説です。
【基本編】
STEP1・【ゴルフクラブに仕事をさせる】フェースローテーションのメカニズム
STEP2・身体の右サイドでクラブを捌くアームローテーション
STEP3・【プロとアマでは正反対?】ゴルフスイングの力の入れ方
【実践編】
STEP4・ハーフスイングで正しいゴルフスイングを身に付ける練習法
STEP5・【実は難易度が高い!】ゴルフのフルスイング練習法
【補足編】
補足1・【切り返しは助走区間】トップからヘッドを加速させる3つの方法
補足2・トップで作った捻転差はリリースするタイミングが重要!
トップからの切り返しでヘッドを加速させる。
聞き慣れない表現なのでピンとこない人もいるかもしれません。
ハーフスイング(STEP4)とフルスイング(STEP5)の違いは、助走距離が違うだけという解説をしてきました。
トップからの切り返しをスイングの助走区間と考えれば、助走の目的はヘッドに勢いを付けることです。
切り返しでヘッドを加速させることが出来れば、インパクトでスムーズにヘッドスピードを上げることができます。
切り返しでヘッドを加速させる3つの動き
トップからの切り返しでヘッドを加速させる動きは3種類あります。
- 肘を支点に前腕を回転させる動き
- 右足で地面を蹴る動き
- トップで反動を付ける動き
3種類の動きの優先順位は、①>②>>>>③です。
①②の動きは、全てのプロゴルファーが取り入れている動きです。
③の動きは、ドラコン選手が積極的に取り入れています。
初心者ゴルファーの場合、
①の動きは、必ず取り入れなければならない動きです。
②の動きは、ある程度スイングが安定してから取り入れることをお勧めします。
③の動きは、安定性に欠ける動きなのでお勧めしません。
①の動きに重点を置きながら、3種類の動きについて解説していきます。
①右肘を支点にして手首を加速させる
初心者ゴルファーが必ず取り入れて欲しい動きは、右肘を支点にしてヘッドを加速させる動きです。
ゴルフスイングの基本的な動きであり、当然ながら全てのプロゴルファーが取り入れている動きです。
残念ながらほとんどの初心者ゴルファーが出来ていない動きでもあります。
野球やテニスで見られる基本的な動きのこと
野球・テニス・バレーボールなどで見られる動きで、右肘を支点にして前腕をクルッと回転させる動きです。
右肘を支点にして前腕を加速させる動きは、言い方を変えると手首を加速させる動きになります。
手首を加速させることができれば、結果的にヘッドも加速することができます。
シャロースイング・パッシブトルク打法と呼ばれる動き
右肘を支点にして手首を加速させる動きは、片手の方が大きく回転させることができるので手首を簡単に加速させることが出来ます。
ゴルフの場合は両手でスイングするため、前腕の回転は小さくなります。
右肘を支点にしてヘッドを加速させる動きは、一般的にシャロースイングと呼ばれています。
前腕の回転が大きければパッシブトルク打法と呼ばれ、ダウンスイングでシャフトを寝かせる動きと例えられたりします。
- 前腕の回転が小さい:シャロースイング
- 前腕の回転が大きい:パッシブトルク打法
- 前腕の回転が出来ていない:スティープスイング
呼び方はいろいろありますが、問題は右肘を支点にしてヘッドを加速させる動きができているかどうかです。
※「パッシブトルク」とはゴルフクラブの特性の1つであり、パッシブトルク打法と呼ばれるような特別なスイングではありません。
右肩の柔軟性が大きく影響する
右肘を支点にして前腕を回転させる動きは、切り返しで右肩を外旋させる動きになります。
前腕を大きく回転させる為には、右肩の柔軟性が必要になってきます。
右肩の柔軟性が高いと飛距離が伸びると言われる理由です。
右肘を先行させる動きを入れるだけで良い
ゴルフスイングは両手でクラブを握っているので、前腕を大きく回転させることは出来ません。
トップからの切り返しで右肘を先行させる動きを入れることが出来れば、それでシャロースイングになります。
右肩の柔軟性が高ければクラブの起動が大きくなるので、パッシブトルク打法と呼ばれるようなスイングになります。
クラブの侵入角度を気にするのではなく、切り返しでヘッドを加速させる意識をもってスイングの練習をすることが大切です。
②右足で地面を蹴ってスイングを加速させる
スイングが安定してきたら、右足で地面を蹴る力を上げていきます。
トップからの切り返しで右足で地面を蹴る動きを入れると、スイング全体のスピードが上がります。
スイングスピードを上げることによって、切り返しからヘッドを加速させる動きに繋がります。
ヘッドの加速というより、スイングの加速といえる動きです。
右足で地面を強く蹴る動きも、全てのプロゴルファーが取り入れている動きです。
お手本は松山英樹選手と宮里藍選手
右足で地面を蹴る動きは全てのプロゴルファーが取り入れていますが、お手本になる選手は、松山英樹選手と宮里藍選手です。
バックスイングからトップまではゆっくりとした動きで、切り返しで一気にスイングを加速させます。
ゆっくりとしたバックスイングで右足に力を溜める
右足で地面を蹴る動きを大きく取り入れている選手は、トップで静止したように見えます。
スイングが切り返しで一気にトップスピードにはいるため、トップで余計な動きをしているとクラブのコントロールが難しくなりスイングが乱れる原因になります。
松山英樹選手の特徴的なトップの「間」は、スイングのブレを無くすための理に叶ったスイングと言えます。
上半身動きは最小限に抑えて、ゆっくりしたバックスイングで右足に力を溜めるスイングが特徴です。
飛距離アップに欠かせない動き
右足で地面を蹴る動きは、飛距離アップに欠かせない動きです。
野球やテニスでも後ろ足で地面を蹴る力がパワーの源になります。
この動きを取り入れると松山英樹選手のように一気にスイングを加速させることが出来ます。
スイングを安定させる為には、最低限の筋力(下半身と腹筋周り)が必要です。
初心者ゴルファーの場合は、いきなり強く地面を蹴るのはなく少しずつ蹴る力を上げながら練習をしてください。
③切り返しで反動をつけてヘッドを加速させる
トップからの切り返しでクラブに反動を付けて、ヘッドを加速させる動きです。
スイングに勢いを付けやすい動きで、多くの初心者ゴルファーが取り入れている動きです。
ヘッドは加速させやすいが安定性に欠ける動き
トップで反動を付けるとヘッドを大きく加速させる事が出来ますが、スイングの安定性に欠けます。
ドラコン選手が取り入れている動きで、「ミート率は低くなるけど当たれば飛ぶ」動きです。
初心者ゴルファーの多くが、この反動を付ける動きだけでヘッドを加速させている傾向があります。
安定性に欠ける動きなので、初心者ゴルファーは取り入れないようにすることをお勧めします。
バックスイングの途中で切り返しを始める
右足で地面を蹴る動きとは対照的に、バックスイングを早く上げる特徴があります。
よく使われている表現だと
- トップの前に切り返しを始める
- バックスイングの途中で切り返しを始める
- バックスイングは早くあげたほうが良い
このような表現を使う指導者は、少なからずトップで反動を入れているスイングをしています。
デメリットが多い動き
トップで反動を付ける動きは、ヘッドを加速させやすいがデメリットが多い動きでもあります。
トップで反動を付ける動きのデメリット
- スイングの安定性に欠ける
- ミート率が下がる
- 基本の動きを誤魔化してしまう
- 筋力不足を誤魔化してしまう
- トップで力みやすくなる
トップで反動を付ける動きは当たれば飛びます!
スイングが安定していない初心者ゴルファーにはデメリットの方が大きい動きです。!
反動を付ける動きを否定するつもりはありませんが、①②の動きが出来るようになってから取り入れることをお勧めします。
一気にヘッドを加速させなくて良い
「ヘッドを加速させる」という表現を使ってきましたが、一気に加速させるイメージは持たなくて大丈夫です。
初心者ゴルファーの場合は、「かる~く勢いを付ける程度」をイメージしてください。
- ①の動きで、前腕を軽く回転させる
- ②の動きで、軽く地面を蹴る
- ③の動きで、軽く反動を付ける
何度も言いますが、トップではリラックスすることが大切です。
切り返しでヘッドを一気に加速させようと思うと、上半身が力んでしまいます。
①と②の動きが安定してくると、軽い動きでもスイングスピードは一気に上がります。
次回は、【ゴルフスイングのメカニズム】
【補足編】その2
トップで作った捻転差はリリースするタイミングが重要!
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